オパールに願いを込めて
今日はハクの誕生日。 私は是非お祝いしたくて 事前に「とあるプレゼント」を用意していた。 勿論当日のアポイントメントもしっかりと取り、準備は万全だった。 ーーハクは、喜んでくれるだろうか。 私は期待半分、不安半分といった多少複雑な気持ちで当日を迎えた。 待ち合わせ場所の緑地公園に向かうと、ハクは既に到着しており 近くの木に寄りかかっていた。 私は急いで駆けつけると、ハクはいち早く私に気付き口元に笑みを浮かべた。 『お待たせ、待った?』 「いや、今きたところだ。」 ハクはそういうと、私の頭を優しく撫でた。 ーーハクのそういった優しさが、毎回私の心を満たしてくれるのだ。 私は顔を赤らめながらも早速本題に入った。 『ねえハク、今日はなんの日かわかる?』 私は少し緊張しながらハクに問いかけた。 「…?何か特別な日だったか?」 ハクはそういうと、首を傾げ不思議そうに私の顔を覗いた。 ーーハク、もしかして自分の誕生日覚えてないの!? 私は内心とても驚いてしまった。 『ハク…今日は貴方の誕生日だよ!』 私が勇気を出して言うと、 ハクは納得した表情を浮かべた。 「ああ…そうか。俺はそういうのに疎いからな。」 しかしハクはまるで他人事のようにポツリと呟いた。 ーーハクは今まで、誕生日のお祝いをされてこなかったのだろうか。 そういった考えが頭を巡る。 しかし、折角の誕生日。 私は彼に少しでも思い出を残してあげたい。 そう思い、私は用意していたプレゼントを渡すことにした。 『ハク、誕生日おめでとう!これよかったら受け取って!』 可愛くラッピングされたプレゼントを渡すと、ハクはとても驚いた顔をしつつも 受け取ってくれた。 「…これ、開けていいのか?」 『勿論!開けていいよ!』 ハクは戸惑いながらもプレゼントの紐を解き中身を開けてみると、更に目を見開いた。 「これって…自分で作ったのか?」 『うん。前にハク、この手作りのブレスレットくれたでしょ?だから私も手作りのブレスレットをプレゼントしたくて。』 私が用意したのは「手作りのブラックオパールの天然石ブレスレット」だった。 『このブレスレットはね、ブラックオパールが使われているの。』 「ブラックオパール…?オパールなら聞いたことがあるが、オパールにも黒があるのか?」 『うん!それにブラックオパールはね、黒は何色にも染まらないということで、自分を保つパワーを与えてくれる石なんだよ。』 「自分を保つパワー…か。」 ハクはそういうと、 何か思い詰めた表情を浮かべ手元のブレスレットをじっと見つめた。 『…ちなみに石言葉は、「無限」「可能性」「成功」「幸運」「癒し」。 』 『迷ったとき、疲れたときに、進むべき道を示してくれたり、気持ちを安定させてくれたりするんだよ。』 「石言葉…初めて聞いたな。」 ハクは感心したようにうなづきながら私の話に耳を傾けた。 『それにね、【ひとつの可能性だけを見つめているのではなく、視野を広げて世界を見るように】って教えてくれるんだよ。』 「そんな願いを込めて、作ってくれたんだな。」 ハクは穏やかな笑みを浮かべながら、そう告げた。 『…うん!だからこのブレスレットが、ハクの手助けになればなって。』 私がそう言うと、ハクは私の手を引き 私を自身の胸の中に閉じ込めた。 『えっ、ハク!?』 突然のことで頭が回らず、されるがままになってしまった。 するとハクは私の耳元に自身の口を近づけ、 ゆっくりと囁いた。 「お前は充分俺の手助けになってるよ。…ありがとう。」 『ど、どういたしまして…』 赤く染まり過ぎた顔を見られたくなくて、ハクの胸に顔を埋めた。 その後、ハクは危険な任務の時以外は肌身離さずつけてくれるようになった。 ハク曰く、「危険な任務の時に万が一壊れてしまったら困る」とのことで。 ーー私はオパールに願いを込めた。彼の活躍に役立ちますように、と。
Happy Birthday ハク(*´꒳`*)いつも物語で爽やかな風を吹かせてくれてありがとう♪確固たる正義の宿った瞳が大好きです!どうか物語の中でも新たな展開を切り開いてくれる存在でありますように。